健康に飲む!上手なお酒との付き合い方|管理栄養士監修
管理栄養士のYuEです!
みなさん、普段お酒は飲まれますか?
全く飲まない方から毎日飲む方まで、それぞれ飲み方や飲む量はかなり異なると思います。
お酒を飲む方にとってお酒は楽しみでもありますが、飲む量が度を超えてしまうと健康問題の原因になるおそれもあるため、飲酒習慣のある方は適度な量や危険性を理解しておくことが大切です。
本日はこの流れですすめていきたいと思います!
- アルコールの代謝の流れ
- アルコールの摂取目標
- 性差によるアルコールの影響
- 体質によるアルコールの影響
- 飲酒量と疾病の発症率
- アルコールのエネルギー量と栄養素
アルコールの代謝の流れ
摂取したアルコールは、胃と小腸で吸収されます。その後の肝臓内で分解が行われます。まずはアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。これが頭痛や吐き気・動機を起こす原因の物質です。次にアセトアルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解されます。さらに酢酸は無害である二酸化炭素と水に分解されて、最後には尿や汗、呼気となり体外へ排出されます。
この分解が追いつかないことでアセトアルデヒドが体内に残ったままになることから二日酔いの症状がでてしまう原因となります。
アルコールの摂取目標
「健康日本21」では、アルコールに関してのデータを踏まえて大きく以下の3つの目標として設定されています。
1.1日に平均純アルコールで約60gを越え多量に飲酒する人の減少
2.未成年の飲酒をなくす。
3.「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。
また、「健康日本21」では、1日あたりの純アルコール量が男性では1日平均40g以上、女性では1日20g以上であると生活習慣病のリスクが高まるとされています。
ここで「純アルコール量」という言葉を理解する必要があります。純アルコール量は、飲むお酒の量とイコールではありません。お酒に含まれる純粋なアルコール自体の量のことを指します。
お酒の種類ごとの純アルコール量を表にまとめたので、ご自身が摂取している純アルコール量の合計を導き出してみましょう!
上の表を参考にすることもできますが、純アルコール量は以下の計算式を使って算出することができます。
純アルコール量(g)=お酒の量(ml)×(アルコール度数(%)÷100)×アルコールの比重(アルコールの比重は約0.8)
これを例として、上記のビールに当てはめて計算してみます。ビール500mlの純アルコール量は、
ビールの量500(ml)×【ビールのアルコール度数5%÷100】×比重0.8=500×0.05×0.8=純アルコール量20g
となります!
また、例としてとあるメーカーさんのハイボール缶350mLの純アルコール量を算出してみます!
ハイボール缶350ml×(ウイスキーのアルコール度数7%÷100)×比重0.8=350×0.07×0.8=19.6g≒20g
以上のような量となります!
ここまでみてきてお気づきの方もいると思いますが、実はビール缶やハイボール缶など350mLを1缶飲むだけで目標の純アルコール量20gに達してしまうのです!
ご自身の摂取している純アルコール量を計算してみて、上記に当てはまった方はお酒の飲みすぎ・純アルコール量のとりすぎなのでこのような習慣がある方はこれから見直してみましょう!
性差によるアルコールの影響
女性は男性に比べて、アルコールを分解できる量が少ないことや女性ホルモンによりアルコールの影響を受けやすいことなどが知られています。男性よりもアルコールを分解できる量が少ないため身体への影響が出やすいため注意しましょう。
体質によるアルコールの影響
性別や年齢の違いだけではなく、上記で紹介したアルコールの分解酵素のはたらきの強さには個人差があります。
分解酵素の働きが弱いと、アルコールからアセトアルデヒドの分解がゆっくり行われるため、少しの量のお酒でも体調が悪くなる、眠くなる、顔が赤くなる、動悸がするなどの「フラッシング反応」が起こりやすくなります。
今まで少しの飲酒量でこのような症状が出たことがある方は無理をしないようにしましょう。
飲酒量と疾病の発症率
習慣的な多量のお酒の摂取は消化器だけではなく、全身に影響する恐れがあり、脳卒中、心疾患、高血圧、肝疾患、がん疾患などの発症リスクが高まります。
特に肝臓は、代謝や解毒を行う臓器です。アルコールが原因である肝疾患を放置してしまうと、【アルコール性脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変・肝細胞がん】のようにどんどん悪化していくことが知られています。
「脂肪」肝という名前でも、アルコールが原因であることもあるのがアルコール性脂肪肝です。これは食事全体というよりもアルコールが原因であるため、食事だけではなくアルコール量の調整が必要となります。
アルコールのエネルギー量と栄養素
三大栄養素のエネルギー量は以下の通りです。
炭水化物とたんぱく質は1gあたり約4kcal
脂質は1gあたり約4kcal
そして、アルコールは1gあたり約7kcalとアルコールもエネルギーはあります。
今はノンアルコール商品や糖質オフ商品など種類が多いため、商品ごとに何がどのくらい控えられているかを見極めて選択することが大切です。また、お酒自体に含まれる炭水化物(糖質)はお酒の種類によって異なります。
糖質が含まれているもの・・・ビール、日本酒
糖質が含まれていないもの・・・焼酎、ウイスキー
そしてここが特に注意してほしいのですが、【お酒を飲むから白米を食べない】これは間違った調整方法です。おそらくこの調整をしている理由としては、摂取エネルギー量を抑えたいから、糖質を控えたいからといった理由で白米を食べないことが多い意見だと思います。
しかし、これがよくない調整方法だと言い切れるのは「エネルギー量だけではなく栄養素に注目していない」ためです。エネルギー量や糖質は調整できているとしても、
・お酒にはアルコールが含まれており上記で述べてきた影響があること
・アルコールのエネルギー量(7kcal/g)は炭水化物(糖質)のエネルギー量(4kcal/g)よりも高いこと
・お酒には、白米に含まれるたんぱく質やビタミン、ミネラルが含まれていないこと(お米にもたんぱく質は多少なりとも含まれているのが見落とされがちなポイント!)
これらの点が偏ってしまうのです。この解決方法は簡単です!
【自分に合った白米の量は減らさずに、お酒の量を適量にする】ことです!
これらによって、お酒によるからだへのダメージも減らしつつ白米の栄養素も摂ることができます。
まとめ
本日の内容からご自身の飲酒習慣を振り返ることができましたか?
飲酒による影響は個人差があります。現時点で疾患がない方は、今のうちから減酒したり休肝日を作ったりと健康なうちにからだに負担がかからないように調整することが大切です。疾患がある方はもちろん上記の量を参考に調整してみてください!
疾患によっては「禁酒」を余儀なくされることもあります…
そうなると飲酒が楽しみである人は1滴も飲むことができなくなってしまうため、それを防ぐためにも今からの調整が必要かと思います!周りには強要せず、自身でもお酒を飲む量に注意しながらお酒と楽しく付き合っていきましょう!
[文献]
1)厚生労働省 健康日本21 アルコール (一部改変)
2)厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン